ドル円と日経平均の大暴落の背景をまとめました

ドル円と日経平均の暴落の背景をまとめました

FX侍です、こんにちは。

最近のマーケットはえげつない動きをしてますね。

日経平均がブラックマンデーを超える史上最大の下げ幅を記録したり、ドル円が一時142円を割れたり。

▼ドル円日足(クリックで拡大します)
ドル円の日足

なぜここまでドル円や日経平均が動いたのか?

その背景をまとめたので、今後の動きを探る相場感にお役立てください( ・∇・)

最近の相場で起きた出来事と値動きの関係

まずは最近のイベントとドル円の動きをおさらいしましょう。

▼最近のイベントとドル円の日足(クリックで拡大します)
最近のイベントとドル円の動き

ドル円が高値から急激に下落した背景には、以下のイベントが関係しています。

1.円買いドル売り介入
2.日銀による0.25%の利上げ
3.FOMCでの金利据え置き
4.アメリカ雇用統計による景気後退懸念

これらの要因が重なって最近の極端な動きとなっています。

 

では次に『為替レートの大原則』をおさらいしましょう。

そもそも為替レートは2国間による通貨強弱の綱引きです。

基本的には金利が高い通貨が買われて、金利が低い通貨が売られます。
(あくまで基本的な考え方なので例外は当然あります)

日米の金利差とドル円の動きを見てみましょう。

▼日米の金利差とドル円の日足(クリックで拡大します)
日米の金利差とドル円の動き

オレンジ色の日米の金利差が上に行けばドルが強く、下に行けば円が強いという関係性です。

しかし黄色で囲んだ部分は、金利差が低下しているのに本来の動きであるドル売り・円買い(=ドル円の下落)とは逆方向に動いているのがよく分かりますね。

この動きが(スッゲー乱暴に言えば)投機的な動きです。

本来の金利差を無視した円売り・ドル買いが行われています。

まぁ為替の動き自体が投機と言えばそれまでですし、この部分以外でも投機的な動きは続いているんですがw

あくまで分かりやすくイメージする例えとお考えください。

 

ドル円の大幅下落を引き起こした円キャリーの巻き戻し

ドル円暴落の背景には「円キャリー取引の巻き戻し」があるとされています。

下記が簡単なイメージです。

円キャリーの仕組み

日本のような低金利の国で資金を調達し、利回りの高い米株などで運用して利益を得るのがキャリー取引です。

円売り・ドル買いが含まれているので、円キャリー取引はドル円の上昇圧力となります。

日本円で借金する際の利息が1%で、そのお金での運用益が5%であれば…4%の利益という計算です。

これまではこのロジックで円キャリーが機能していましたが、状況が変わったことで巻き戻しが起こりました。

 

まず1つが、アメリカの景気後退懸念。

雇用統計で非農業部門雇用者数が大幅に下落し、失業率も4.1%から4.3%に拡大。
(過去の雇用統計の数値も大幅に下方修正されています)

8月2日の雇用統計以前からアメリカの経済指標は悪化していましたが、8月1日のFOMCでは利下げせず金利据え置きだったことで株価下落を引き起こしたとされています。

 

そして日銀による0.25%への利上げです。

政策金利の上昇は当然ながら日本で借金する際の利息の上昇を意味します。

しかも「今後も利上げ姿勢で臨む」という植田総裁のタカ派発言によって、円キャリーの状況が一変しました。

日本銀行が追加金利を引き上げた31日の金融政策決定会合後の記者会見で、植田和男総裁は今後数回の利上げにも前向きな姿勢をにじませた。総裁発言をタカ派と受けとめた市場では、早くも年内追加利上げの見方が浮上している。
引用:Bloomberg

 

・借金して資金調達する日本の金利上昇
・投資先の米株の下落(景気後退懸念)

このダブルパンチによって積み重なっていた円キャリー取引の大幅な巻き戻しが起こったとされています。

下記のような記事もあるので参考にどうぞ。
キャリートレード巻き戻しはまだ半ば、せいぜい60%-JPモルガン|Bloomberg(新規タブで開きます)

ちなみにキャリー取引については過去に解説した記事があるので、こちらも併せてご確認ください。

 

円キャリーの巻き戻し以外の要因

日経平均やドル円暴落の裏側には、円キャリーの巻き戻し以外の要因も考えられます。

まず1つ目が海外機関投資家やヘッジファンドの『リスクパリティ戦略』です。

簡単に解説すると、ポートフォリオ内のボラが高くなった投資先の保有比率を下げるというもの。

株のボラが拡大すれば保有株式を減らす(=売る)ので、余計にその動きが加速されちゃうわけですね。

リスクパリティについては下記で解説しているので参考にどうぞ。
知らない方も多いでしょうが意外と重要な考え方です。

 

2つ目が日経暴落によるポジション決済です。

8月5日の暴落で今年の上げ幅が帳消しになりました。

▼日経平均日足(クリックで拡大します)
日経平均日足チャート

暴落した日の東証プライムでは、値上がり銘柄数は14、値下がりは1623、変わらずは7という有様。
大型株も容赦なく下落しており「こんな相場は見たことない…」という識者の声もあったほど。

当然ポジションの損切り注文もあったでしょうし、信用取引をしている人で強制決済+追証という悲惨な状況に見舞われた人も少なくありません。

 

そして3つ目がイスラエルによる地政学リスクの高まりです。

7月31日、イランの新大統領の就任式に出席するために首都テヘランへ訪れていたハマスの最高幹部がイスラエルによって暗殺され、イランの報復攻撃という地政学リスクが高まりました。

この件についてはまだ予断を許さない状況なので、相場のリスクとして頭に入れておいた方がいいでしょう。

 

まとめ

8月5日の日経平均は歴史に残る暴落となりました。

日経の号外

ドル円も一時141円台に突っ込む暴落っぷり。

その背景は解説したように、複数の要因が積み重なったこと。

イスラエルの地政学リスクが最高潮に高まっている中で、日銀利上げ・アメリカの景気後退懸念:円キャリーの巻き戻しという要因でボラが急拡大。

そこへ大口のリスクパリティ戦略によってさらにボラが拡大した…という流れだったことが考えられます。

一連の急変動は一旦の落ち着きを見せていますが、記述のように円キャリーの巻き戻しはまだ60%程度との報道もあります。

8月はFOMCはありませんがジャクソンホールがあるので、まだまだ波乱が続く可能性は十分考えられます。

くファンダメンタルやニュースにも意識を向けながらトレードするようにしてくださいね( ・∇・)

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