FX侍です、こんにちは。
今回は「キャリートレード」についての分かりやすい解説を。
当記事を執筆している2020年2月28日時点。
直近でユーロドルが上昇しているのも、今回のキャリートレードが関係していると思われます。
キャリートレードとは、低金利の通貨を借りて、高金利通貨を運用することを指します。
ん?スワップ狙いのトレードって事??
と思われた方、鋭いです。
それだけじゃありませんが、要するにそういう事。
金融市場では何かしらの資産を保有し続けることを『キャリーする』と言います。
これがキャリートレードの語源ですね。
この記事を読めば、キャリートレードの仕組みと資金の流れが分かります(・∀・)
スワップでキャリートレードを理解する
低金利で資金を調達して、より金利が高い『何か』で運用して儲ける。
これがキャリートレードの目的ですが、分かりやすい代表例がFXのスワップ狙いのトレードです。
ユーロドルのショート、ドル円のロング、オージー円のロング、トルコリラ円のロング、メキシコペソ円のロング等がスワップ目的のトレードとして有名ですね。
要するに、低金利の通貨を売って、反対側で高金利の通貨を買うという事。
そこで重要になるのが言うまでもなく「金利」です。
下記は直近2020年1月の主要国の政策金利です。
円もユーロも思いっきり低金利ですね。
じゃあもう少し戻って、2年前の政策金利を見てみると…
円もユーロも引き続き低金利。
▼2018年2月時点の各国政策金利
ちなみに今から4年前の2016年を見ても、円もユーロも安定の低金利ですw
▼2016年2月時点の各国政策金利
円もユーロも長きに渡って低金利なので、保持していても金利面での旨味はゼロです。
だから円やユーロを売って(=手放して)金利の高い通貨を買う(=手に入れる)という訳です。
金利の高い通貨を持っていれば金利収入が入ってきますからね。
キャリーする金融商品は通貨以外にも
上記はスワップを事例にしたFXでのキャリートレードを解説しましたが…
原油、ゴールド、株、国債、商品先物など、投資できる金融商品は為替以外にも沢山あります。
例えば日本の投資家がアメリカ国債を買うキャリートレードの場合、このようなイメージになります。
このキャリートレードを行う投資家は、我々のような個人投資家だけではありません。
機関投資家や大口と呼ばれる、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、普通銀行、信用金庫、年金基金、共済組合、農協、政府系金融機関、ファンドなども含まれます。
こうした大口が外国の金融商品を購入する際、大量の円がドルに両替されてドル円は上昇しやすくなります。
はい、ここで思い出してください。
持っていても低金利で旨味がないのは日本円だけでしたっけ?
違いますよね。
ユーロも日本円と同じく低金利通貨でしたね。
つまり、ユーロも円もキャリートレードで売られやすい通貨と言えます。
(単純にキャリートレードという理由だけが売られる訳ではありませんけどね)
その時々でキャリーする金融商品(要するに投資先)は異なります。
アメリカの金利が高ければドル買いに資金が入り、NYダウなどが好調なら株式市場に資金が入ります。
その時に『最も利益が見込めそうな美味しい場所』に資金が入るという訳です。
ただし資金には限りがありますし、1つの金融商品だけに投資するのはリスクが高いですよね。
そこで大口は多方面にリスク分散をしながら利ざやを稼いでいます。
キャリートレードで得た利益を自国通貨に替える
2020年に入って、新型コロナウイルスによって世界経済の低迷が現実的になってきました。
リスクオフの雰囲気です。
リスク資産である株式から資金が抜け、NYダウも日経平均株価も大暴落しています。
下記はNYダウの日足ですが、エゲツない下落ですよね^^;
ただしダウ下落の実態は、今まで買いで儲けた投資家たちの利確による下げだと思いますが。
要するに…
大口が利確する口実として、新型コロナウイルスが都合よく使われただけですね、多分w
で、NYダウに投資して儲かった投資家はアメリカ人だけじゃありませんよね。
日本の大口も、ヨーロッパの大口も大勢いるはずです。
ダウ得た利益を米ドルで持っていても問題はありませんが、リスクオフの時には現金化される事も多いです。
米ドルを日本円に換金する時には、先程とは反対の取引が行われます。
ドルを円に替えるときには、円買いが活発になる。
ドルをユーロに替えるときには、ユーロ買いが活発になる。
はい、これが直近でユーロが上昇している理由だと思われます。
つまり、キャリートレードで売られていたユーロが買い戻されていることで、直近のユーロドルが上昇していたという訳です。
NYダウ・ユーロドル・ドル円の日足を比較すると面白いです(*´ω`*)
青い縦線を引いた位置から、いずれも流れが変わっていますね。
▼NYダウ・ユーロドル・ドル円の日足を比較(クリックで拡大します)
ダウから資金が抜けて、円とユーロに戻った様子が分かりますよね。
要するにこういうイメージです。
こうした『キャリートレードの巻き戻し』が起こり、直近でドル円の下落・ユーロドルの上昇が起きていると推測できます。
また、日本の3月は決算企業が多く、機関投資家も例外ではありません。
海外で得た利益(ドル)を本国の通貨(円)に戻す必要もあるので、3月は円買いが起こりやすいとされています。
一昔前はキャリートレードで売られるのは「円」というのが定番でしたが、最近では円と同様に「ユーロ」も売られるようになりました。
市場のセンチメントが変われば、キャリートレードの巻き戻しも起こりやすくなります。
円とユーロが絡む通貨ペアをトレードする際には、こうした背景があることを覚えておくと役立ちますよ。
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