COTレポート分析 2026年9月1日週
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COTレポート分析 2026年9月1日週

FX侍です、こんにちは。

なんだか少しずつ涼しく感じる日が増えてきましたね。
(というか今までが暑すぎたのかもしれませんが笑)

なんと昨日はクーラー無しで寝れるほど。

最近感じられなかった「秋」がこのまま来てくれるといいんですが…

 

さて本題へ。
今週のCOTは、少し注意が必要です。

基準日の9月1日から公開までの3営業日でドル円が急落。

先週も金曜のジャクソンホールで動きましたし、2週続けてCOT後に相場が走っています笑

とはいえ、今回のデータには面白いところがあります。

今週は主要な中銀のうちFed・ECB・日銀・RBAの4つで利上げ観測が強まり、BOEだけが逆に後ズレ。

みんなが同じ方向を向くなら、金利差そのものはあまり広がりません。

こういう週は、資金の向きが金利差ではなく各通貨の個別事情で決まります。

実際、7通貨の建玉ははっきり割れました。

中長期勢が最も買ったのは、利上げが新しく見え始めた豪ドル。
逆に売られたのは、長期金利が数十年ぶりの水準まで上がった円とポンドでした。

 

COTに関する基礎知識は、以下の解説記事をご覧くださいませ。

では今週のCOTレポートの分析へ参りましょう。

 

今週のCOTハイライト

今回のCOTは9月1日(火)時点のデータ。

ドル指数は集計期間に0.76%上昇しましたが、LMは前週比-2,056枚とドル買いを減らし、AMは+2,223枚と4週ぶりに買い戻し。

先週まで開き続けていた「減らす側と積む側」が、今週まるごと入れ替わっています。

COT集計期間内で重なっていた材料はこんな感じ。

・8/26 豪7月CPIは総合が3.5%へ鈍化する一方、トリム平均は3.6%で横ばい
・8/27 トランプ大統領が6月のイラン覚書に戻る意思なしと報じられ、Brentは約+2.1%
・8/28 ウォーシュFRB議長のジャクソンホール講演で9月利上げ確率が35%から57.5%へ
・8/28 財務省が7/30〜8/26の円買い介入額を15兆3,993億円と公表、月次で過去最大
・8/31 米軍がイランのララク島を攻撃、イランはヨルダンの米軍2基地へミサイルで報復
・9/1 日本10年債が3.005%と1996年以来の水準、英10年債も5.25%で2008年6月以来の高さ
・9/4 米雇用統計は予想を上回ったもののドル買いは続かず(※)
(※は今回のCOT集計後の出来事です)

今週は主要な中銀のうちFed・ECB・日銀・RBAの4つで利上げ観測が強まり、BOEだけが逆へ振れた週でしたね。

どこも上げるなら金利差は開かないので、通貨の明暗を分けたのは利上げの有無ではなくその中身の方です。

特に注目すべき3点

今週、特に大きく動いたのは以下の3通貨です。

1. JPY(円):LMが-25,146枚の売り直しで、介入前とほぼ同じ持ち高へ逆戻り。
2. AUD(豪ドル):AMが+14,960枚と7通貨で最大の買い、LMは逆に-4,399枚の売り。
3. CAD(カナダドル):AMが+9,399枚で3週続けての買い戻し、-5万枚台を回復。

推移をまとめた表がこちらです。

通貨 Asset Manager 前週比 Lev Money 前週比 注目度
EUR 263,253 +1,827 -38,173 +186
GBP -107,333 -2,842 43,167 -4,742 ⭐⭐
JPY -24,521 -4,405 -102,188 -25,146 ⭐⭐⭐
CAD -49,544 +9,399 -68,750 +3,342 ⭐⭐⭐
AUD -30,467 +14,960 49,662 -4,399 ⭐⭐⭐
CHF -32,117 -3,462 -10,298 -1,473 ⭐⭐
DXY 16,241 +2,223 7,133 -2,056 ⭐⭐

Asset Manager = 年金基金や保険会社などの機関投資家。中長期のトレンドを反映しやすい。
Leveraged Money = ヘッジファンドなどの投機筋。短期的な値動きへの反応が早い。

 

先週比のポジション変化のグラフがこちらです。

▼カーソルを乗せると数値が表示されます

 

 

🗺 ヒートマップで見る直近の流れ

直近の変化がわかりやすいヒートマップがこちらです。

ヒートマップから読み取れるポイント

🔴 赤が目立つ通貨(ポジション縮小・売り方向)
・JPY Lev Money:前週比-25,146枚で、売り越しは-102,188枚へ。今週7通貨で最大の変化
・GBP Lev Money:前週比-4,742枚で、買い越しは43,167枚へ。3週続いた買い増しがストップ
・AUD Lev Money:前週比-4,399枚で、買い越しは49,662枚へ。5週続いた買い増しがストップ
・JPY Asset Mgr:前週比-4,405枚で、売り越しは-24,521枚へ。4週続いた買い戻しがストップ

🟢 緑が目立つ通貨(ポジション拡大・買い方向)
・AUD Asset Mgr:前週比+14,960枚で、売り越しは-30,467枚へ。今週7通貨で最大の買い
・CAD Asset Mgr:前週比+9,399枚で、売り越しは-49,544枚へ。3週続けての買い戻し
・DXY Asset Mgr:前週比+2,223枚で、買い越しは16,241枚へ。4週続いた売りがストップ

📌 注意すべきパターン
・AUD:AMが+14,960枚の買い、LMが-4,399枚の売り。中長期勢と短期勢が正面から割れた形
・DXY:AMが+2,223枚の買い、LMが-2,056枚の売り。増減の向きが先週と交代した形

 

🔍 通貨別の詳細分析

ここまで全体を俯瞰して見たので、次は各通貨のポジションを見ていきましょう。

EUR(ユーロ)⭐ 材料が出揃って動く理由がなくなった

AMの現在ポジションは263,253枚(約5兆9,714億円)の買い越し。
前週比+1,827枚(約414億円)の小幅な買い増しで、5週続けて積み増しました。

LMは-38,173枚(約8,659億円)の売り越しで、前週比+186枚(約42億円)のほぼ横ばい
今週7通貨の中で、最も動かなかった数字です。

日付 AM 前週比 52週レンジ LM 前週比 52週レンジ
8/4 219,262 +9,936 5% -52,205 +12,993 11%
8/11 225,389 +6,127 8% -60,600 -8,395 4%
8/18 237,426 +12,037 14% -57,716 +2,884 6%
8/25 261,426 +24,000 25% -38,359 +19,357 22%
9/1 263,253 +1,827 26% -38,173 +186 22%

先週のポイントにした27万枚にも25万枚にも届かず、中長期勢の買い増しは5週で最も細くなりました。

9/1のユーロ圏8月CPIは前年比+3.3%と、7月の+2.9%から加速。
ただし押し上げたのはエネルギーの+14.3%で、コアは2.5%から2.4%へ鈍化しています。

8/31のドイツCPIも+2.9%と、予想の+3.0%を下回りました。

市場はすでにECBの2.25%から2.50%への利上げを完全に織り込んでいます。

短期勢のLMにも大きな動きはなく、方向を決めていないというより「動きを決める材料が出尽くした」というイメージです。

📌 ポイント:EURはAMが+1,827枚の小幅な買い増しで263,253枚となり、先週挙げた27万枚にも25万枚にも届きませんでした。LMも+186枚と、今週7通貨で最も動いていません。ECBの利上げが完全に織り込まれ、CPIの上振れもエネルギー由来でコアは鈍化と、新しい材料が出てこなかった週です。AMが27万枚を超えれば6/16以来の水準に戻り、逆に25万枚を割り込めば8月の買い戻しが行き過ぎだったことになります。9/10の理事会を通過した後に、この膠着がどちらへ動くかが見どころですね。

 

GBP(ポンド)⭐⭐ 金利は18年ぶりの高さでもポンドは売られた

AMの現在ポジションは-107,333枚(約1兆4,175億円)の売り越し。
前週比-2,842枚(約375億円)の売り直しで、4週続いた買い戻しが止まりました。

LMは43,167枚(約5,701億円)の買い越しで、前週比-4,742枚(約626億円)の売り
先週52週最高値まで積み上がったロングから一部を降ろしています。

日付 AM 前週比 52週レンジ LM 前週比 52週レンジ
8/4 -125,814 +15,097 27% 38,174 -2,923 88%
8/11 -119,863 +5,951 32% 40,670 +2,496 94%
8/18 -117,240 +2,623 34% 42,877 +2,207 99%
8/25 -104,491 +12,749 46% 47,909 +5,032 100%
9/1 -107,333 -2,842 43% 43,167 -4,742 90%

先週のポイントで挙げた-9万枚にも-11.5万枚にも届かず、方向だけが売り側へ反転。

きっかけは、市場の利上げ期待が2027年2月まで後ズレしたこと。
(9/17の会合での利上げ確率も15%ほど)

ベイリー総裁も、原油高によるインフレの二次的な波及について「かなり抑制されている」と発言しています。

 

その一方で9/1に英10年債の利回りは2008年6月以来の高さ、30年債は1998年以来の水準へ。

ただし上がった理由は原油高と財政への警戒、そして世界的な債券売りで、景気の強さではありません。

ポンドドルは集計週で-0.65%と下げており、金利上昇が通貨買いにつながらない典型的な形。

「柔軟性」を掲げて発足した現政権の財政運営を市場がまだ測りかねている、という見方もあるようです。

📌 ポイント:GBPはAMが-2,842枚の売り直しで-107,333枚となり、4週続いた買い戻しが止まりました。LMも-4,742枚で、先週52週最高値まで積んだロングを崩し始めています。中長期勢と短期勢が同じ方向を向いたうえに、値動きも-0.65%と一致した週です。AMが-9.5万枚を回復すれば買い戻しが再開したことになり、逆に-11.5万枚を割り込めば8月の戻りがほぼ帳消しです。英国の金利上昇がポンド買いに回るのか、財政不安として売りに回るのかが分かれ目ですね。

 

JPY(円)⭐⭐⭐ 介入前の持ち高へ復帰

AMの現在ポジションは-24,521枚(約3,065億円)の売り越し。
前週比-4,405枚(約551億円)の売り直しで、4週続いた買い戻しが止まりました。

LMは-102,188枚(約1兆2,774億円)の売り越しで、前週比-25,146枚(約3,143億円)の大幅な売り直し
今週7通貨で最大の変化です。

日付 AM 前週比 52週レンジ LM 前週比 52週レンジ
8/4 -42,422 +40,635 24% -60,825 +41,165 61%
8/11 -26,251 +16,171 34% -53,070 +7,755 70%
8/18 -25,743 +508 34% -67,971 -14,901 53%
8/25 -20,116 +5,627 37% -77,042 -9,071 43%
9/1 -24,521 -4,405 35% -102,188 -25,146 15%

先週のポイントで挙げた「介入前の持ち高」へ完全に戻ってしまいました。

介入が始まる直前、7/28のLMは-101,990枚。
1カ月かけて動いた分が元の場所に戻ったことになります。

なんで利上げが近づいているのに円が売られたのか?

材料を方向別に整理してみましょうか。

 

円高方向の材料は、日銀です。

8/27に氷見野副総裁が「適時の利上げ」の必要性を強調。
8/28の東京都区部CPIはコアが+1.8%(予想+1.7%)、生鮮・エネルギーを除くコアコアも+2.0%に上昇。
8/31にベッセントが「日本政府と日銀は円高に繋がることをやると信じている」と発言。

日米双方からの利上げ後押し材料が目白押しで、金利スワップ市場では次回会合での利上げが9割近くまで織り込まれています。

 

一方の円安方向は、アメリカと日本の財政です。

8/28のウォーシュ議長講演で、米9月利上げ確率は約35%から約58%へ急上昇。
日銀が金利を上げてもFedも同じなら、日米の金利差は縮まりません。

9/1には日本10年債が3.005%に上昇し、1996年以来の水準。

ただし『金利上昇要因=日銀の利上げ観測』だけじゃなく、原油高と財政拡張も要因でしょう。

2027年度の国債費は36兆6,386億円と約5.36兆円増え、想定金利も3.0%から3.8%へ引き上げられました。

つまり必ずしも良い金利上昇とはいえない中で、30年ぶりの水準まで上昇したってこと。

 

中長期勢は4週続けた買い戻しをここで止め、短期勢は介入前の水準まで売りを積み直しました。

同じ売り方向でも、踏み込んだアクセルが違いますね。

個人的には日本の3%が利上げを織り込んだ金利ではなく、財政と原油に押し上げられた金利として受け止められたことが、この差を生んだと見ています。

ただし…その積み直した円ショートは集計直後に試されることに笑

9/2:円は約1%上昇し、レートチェック観測も。(真偽は定かじゃありません)
9/3:高田審議委員が「0.25%以上の利上げ幅」について発言。
9/3:植田総裁も9月会合での追加利上げの検討を明言。
9/4:ウォーラー理事のハト派発言で米金利が低下。

この集計後の3営業日で、ドル円は9/1の159.7円から9/4の156.2円へ、-2.21%の円高です。

積み直したばかりの円ショートが、その直後に逆を突かれた形になりました。

色々と思惑が渦巻く値動きの中で、次回のCOTでどこまで巻き戻されるかが最大の見どころですね。

📌 ポイント:円はLMが-25,146枚の売り直しで-102,188枚となり、先週この枠で挙げた-8.5万枚割れを飛び越えて、介入前の7/28(-101,990枚)とほぼ同じ場所へ戻りました。AMも-4,405枚で売り側へ回りました。日銀の利上げは9割織り込まれた一方で、Fedの利上げ確率も57.5%まで上がり、日米の金利差は縮みにくいと両サイドが受け止めた形です。LMが-11.5万枚を割り込めば52週最安値圏に入り、逆に-8.5万枚を回復すれば巻き戻しが始まったことになります。集計後の3営業日で急速な円高が来ているだけに、次回の巻き戻し具合が最大の見どころでしょうね。

 

CAD(カナダドル)⭐⭐⭐ 関税よりGDPと原油を重視した

AMの現在ポジションは-49,544枚(約5,593億円)の売り越し。
前週比+9,399枚(約1,061億円)の買い戻しで、3週続けて戻しました。

LMは-68,750枚(約7,761億円)の売り越しで、前週比+3,342枚(約377億円)の買い戻し
こちらは5週続けての買い戻しです。

日付 AM 前週比 52週レンジ LM 前週比 52週レンジ
8/4 -101,314 -154 4% -101,748 +747 1%
8/11 -104,545 -3,231 2% -92,005 +9,743 15%
8/18 -89,495 +15,050 11% -88,897 +3,108 19%
8/25 -58,943 +30,552 28% -72,092 +16,805 43%
9/1 -49,544 +9,399 33% -68,750 +3,342 48%

先週のポイントで挙げた-5万枚の回復は、今週きっちり達成されています。

AMは7/28の-101,160枚から5週で51,616枚を戻し、LMも7/28の52週最安値から33,745枚を戻しました。

 

背景にあったのは8/28のQ2 GDP。
年率+3.3%とBOCの予想2.5%を上回り、G7で最も高い伸びでした。

そこへ8/27以降の原油高が重なります。
カナダは原油の純輸出国なので、Brentの上昇は輸出にとってプラス材料です。

ただ悪材料も当然あります。

アメリカの50%関税は8/22に発効済み。
カナダも8/25に199億カナダドル分の報復関税を発表しています(発効は9/8)。

それでもドルカナダは集計週でほとんど動かず、中長期勢も短期勢も買い戻しを続けました。

 

ただしCOT集計後の数字は、あまり良くありません。

9/3に発表された7月の貿易黒字はC$42億からC$7.69億へ急縮小し、対米輸出は-6.6%。
同日発表のサービスPMIも46.8と3カ月続けての縮小です。

買い戻しの前提だった「関税前の強さ」が、数字の上では崩れ始めているということ。

これらの数字を受けて、次回のポジションに変化が出るのかが注目点です。

📌 ポイント:CADはAMが+9,399枚の買い戻しで-49,544枚となり、先週挙げた-5万枚の回復を達成。LMも+3,342枚で5週続けての買い戻しです。集計期間中はQ2 GDPの年率+3.3%と原油高が効きましたが、AMとLMの買い戻しが進んだのに、ドルカナダは+0.07%とほぼ横ばい。AMが-4万枚を回復すれば5月以来の薄さになり、逆に-6万枚を割り込めば3週分の買い戻しが半分戻ります。9/8に発効する報復関税と、集計後に崩れた貿易・PMIをどう見るかが次の分岐点ですね。

 

AUD(豪ドル)⭐⭐⭐ 中長期勢と短期勢が、正面から割れた

AMの現在ポジションは-30,467枚(約3,429億円)の売り越し。
前週比+14,960枚(約1,684億円)の大幅な買い戻しで、7通貨で今週最大の買いとなりました。

LMは49,662枚(約5,589億円)の買い越しで、前週比-4,399枚(約495億円)の売り
5週続いた買い増しが、ここで止まっています。

日付 AM 前週比 52週レンジ LM 前週比 52週レンジ
8/4 -34,219 -2,510 35% 40,637 +13,019 66%
8/11 -42,679 -8,460 29% 48,541 +7,904 75%
8/18 -48,066 -5,387 25% 52,108 +3,567 79%
8/25 -45,427 +2,639 20% 54,061 +1,953 82%
9/1 -30,467 +14,960 33% 49,662 -4,399 77%

先週のポイントで挙げた-4万枚の回復は、今週の+14,960枚で大きく飛び越えました。

 

動いた要因は「RBAの利上げ観測」です。

8/26の7月CPIは総合が3.5%へ鈍化したものの、RBAが重視するトリム平均は3.6%で横ばい。

翌8/27の家計支出も予想を大きく上回り、大手4行のうち3行が年内の追加利上げ予想へ変更しました。
(NABは9月、ANZとCBAは11月、Westpacのみ据え置き)

ちなみに次回会合は9/29です。

ここで面白いのがLMの方向です。
オージードルは集計週で+0.25%と上げているのに、短期勢はロングを-2,846枚落とし、ショートを+1,553枚積みました。

値動きに逆らって売った形ですね。

依然として上昇を続けるオージードルですが、AMとLMの買いが揃って5月の高値を抜けていくのか、テクニカル的に注目です。

📌 ポイント:AUDはAMが+14,960枚の買い戻しで-30,467枚となり、先週挙げた-4万枚の回復を大きく飛び越えました。一方でLMは-4,399枚と、5週続いた買い増しが止まっています。中長期勢はRBAの利上げ観測を取りに行き、短期勢は上がっている豪ドルで持ち高を軽くした、という真逆の週です。AMが-2万枚を回復すれば売り越しの整理はほぼ一巡し、逆に-4万枚を割り込めば今週の買い戻しが行き過ぎだったことになります。9/29のRBAまで1カ月弱、AMの買い戻しが続くのか、LMのロング縮小が広がるのかが見どころですね。

 

CHF(フラン)⭐⭐ 52週最高値の翌週に、両サイドとも売り直し

AMの現在ポジションは-32,117枚(約7,746億円)の売り越し。
前週比-3,462枚(約835億円)の売り直しで、4週続いた買い戻しが止まりました。

LMは-10,298枚(約2,484億円)の売り越しで、前週比-1,473枚(約355億円)の売り直し
両サイドが揃って売り側に回っています。

日付 AM 前週比 52週レンジ LM 前週比 52週レンジ
8/4 -39,767 +434 69% -10,084 -437 20%
8/11 -38,322 +1,445 75% -11,432 -1,348 13%
8/18 -37,070 +1,252 80% -9,071 +2,361 26%
8/25 -28,655 +8,415 100% -8,825 +246 27%
9/1 -32,117 -3,462 87% -10,298 -1,473 19%

先週52週最高値まで戻したショートを、今週は+3,475枚積み直した形です。

SNBの政策金利は0%のままで、9/25の次回会合も据え置き予想が大勢。

中長期勢は先週、7通貨で唯一52週最高値まで売り越しを薄くした側でしたが、今週はその手を止めています。

短期勢も-1,473枚と売り側で、52週レンジは19%まで下がりました。

最近はキャリー通貨としてのフランに再び注目が集まっているようで、その流れが今後のポジションに反映されていくのか気になるところです。

📌 ポイント:CHFはAMが-3,462枚の売り直しで-32,117枚となり、先週の52週最高値から一旦後退しました。LMも-1,473枚で、両サイドが揃って売り側です。米イランの交戦が再開した週にフランが買われなかったのは、0%据え置きが確実なぶん金利差が広がる方に反応したからでしょう。AMが-2.5万枚を回復すればショートの解消が再開し、逆に-4万枚を割り込めば8月の買い戻しがほぼ帳消しになります。ドル側の金利見通しが動いた時に最も素直に振れる通貨である以上、次回はCHFのAM・LMの売りがさらに増えるのか、買い戻しへ戻るのかが注視点ですね。

 

DXY(ドルインデックス)⭐⭐ 短期勢は上値を売り直した

AMの現在ポジションは16,241枚の買い越し。
前週比+2,223枚の買い戻しで、4週続いた売りが止まりました。

LMは7,133枚の買い越しで、前週比-2,056枚の売り
6週続いた買い増しが、ここで止まっています。

日付 AM 前週比 52週レンジ LM 前週比 52週レンジ
8/4 18,095 -3,517 87% 3,849 +5,450 100%
8/11 16,527 -1,568 82% 5,772 +1,923 100%
8/18 14,998 -1,529 77% 8,112 +2,340 100%
8/25 14,018 -980 74% 9,189 +1,077 100%
9/1 16,241 +2,223 81% 7,133 -2,056 94%

先週のポイントで挙げた1.6万枚の回復は、今週の16,241枚で達成されました。

 

主役はもちろん8/28のジャクソンホール。

ウォーシュ議長は「インフレが2%へ十分な速度で向かっていると確信できなければ、Fedにはまだやるべき仕事がある」とタカ派発言。

あわせて、いまの金融環境は引き締め的には見えないとも指摘しています。

9月利上げ確率は講演前の約35%から約58%へ跳ね上がり、ドル指数も約2カ月半ぶりの大幅高。

それにCOTがどう反応したのかを見ると面白いです。
(基準日の9/1は、講演からわずか2営業日後)

AMはロングを+1,804枚積み、ショートを-419枚外して、差し引き+2,223枚の買い戻し。
中長期勢は値動きと同じ方向へ動きました。

ところがLMは逆で、ショートを+1,737枚積み増しています。

ロングは16,343枚から16,024枚とほぼ動いておらず、8月に伸びたドル買い越しは7月末に19,129枚あったショートを7,086枚まで畳んだ分。

そのショートをドルが上がった今週は8,891枚まで戻しています。

短期勢は上値を売る側に戻った、と読むのが素直でしょうね。

 

ここから考えられる2つのシナリオがあります。

LMのネットの7,133枚は、今週のペースでショートが増えれば売り越しへ反転。
9/15-16のFOMCを待たずに向きが変わる計算になります。

逆にFOMCでドルがもう一段上がれば、戻したばかりのショートが踏み上げの燃料になります。
7月末の19,129枚まで積み直す余地を考えると、この戻り売りは軽い賭けではないでしょうね。

なお中長期勢は同じ材料でロングを+1,804枚積んでいます。

利上げをドル高として素直に買う側と、上値を売る側で、真っ二つに分かれた週でした。

 

そして集計後の9/4、米雇用統計は市場予想を上回り失業率も4.1%で横ばい。

ウォーラー理事も言及したFOMC前の最終チェックポイントのCPIの結果が、流れを決定づけるイベントになるかもしれません。

📌 ポイント:DXYはAMが+2,223枚の買い戻しで16,241枚となり、先週この枠で挙げた1.6万枚の回復を達成。対するLMは-2,056枚で、8月のドル買い越しはロングを積んだものではなく、7月末に19,129枚あったショートを畳んだ結果でした。そのショートを今週8,891枚まで戻しており、短期勢は上値を売る側に戻ったと見ています。LMが0.5万枚を割り込めば売り越しへの転換が近づき、逆にAMが1.8万枚を回復すれば8月初旬の水準まで戻します。FOMCでドルがもう一段上がれば戻したばかりの売りが踏み上げの燃料になるだけに、中長期勢と真逆を向いた短期勢がどこで折れるかを見ておきたいですね。

 

💡 今週の注目テーマ

全体的にCOTレポートの分析を通じて、FX侍が今週注目するテーマがこちらです。

1. 増やす側と減らす側の交代:どちらもドル買い越しは維持したまま

先週までの4週間、DXYではAMが売り続けてLMが買い続けるという構図が続いていました。

AM:8月は-3,517枚、-1,568枚、-1,529枚、-980枚と4週連続の売り
LM:8月は買い増しで、8/4から8/25まで52週最高値を更新し続ける

それが今週、AMが+2,223枚、LMが-2,056枚と、前週比で両方とも反転。

ただしネットではAMもLMもドル買い越しのままです。

きっかけは同じ材料、8/28のウォーシュ議長の講演。

同じニュースを見て、片方は「ようやくドルを買い直す理由ができた」と読み、もう片方は「ここが売り直す場所だ」と読んだ。

同じ週に増やす側と減らす側がガラッと交代するのは、そう頻繁に起きることではありません。

同じ材料でも、見ている時間軸が違えば逆の結論になるということ。

どちらの読みが正しかったかは、FOMCかその前のCPIで答えが出ますね。

2. 利上げが決まっている通貨ほど、建玉が動かない

今週最も動かなかったのはEURで、AMが+1,827枚、LMが+186枚です。

9/10のECBでの0.25%利上げは、市場がもう完全に織り込んでいます。

GBPも似た状態で、こちらは逆に「利上げは当分来ない」という見方が8/27に強まり、AMとLMが両方とも売り側へ振れました。

対して大きく動いたのはAUDとJPYです。

AUDは8/26の7月CPIと8/27の家計支出でRBAの利上げ観測が急に立ち上がり、AMが+14,960枚。

JPYは日銀側の利上げがほぼ確実になったのに、Fed側の確率も上がったことで金利差縮小の見通しが崩れ、LMが-25,146枚です。

「建玉が動きやすいキッカケ=利上げの確率が変わった瞬間」ということが改めてわかりましたね。

3. 上がった金利が、その国の通貨を買わせなかった

9/1は世界中の長期金利が一斉に上がった日でした。

・日本10年債=1996年以来
・英10年債=2008年6月以来
・独10年債=2011年以来
・米10年債=2025年1月以来

きっかけは8/31の米イラン交戦の再開と、それによる原油高。

ただし上がり方の中身は国ごとに違い、イギリスは原油高に財政への警戒が重なり、日本はそこへ日銀の利上げ観測と財政拡張が加わりました。

ただし建玉を見ると、金利が上がった国の通貨が買われた形跡はほとんどありません。

円はLMが-25,146枚の売り、ポンドはAMとLMが両方とも売りです。

金利が景気の強さで上がったのか、インフレと財政の不安で上がったのかで、受け止められ方が異なるってことですね。

金利は為替でも起点となる指標ですが、「金利上昇=通貨買い」と言う従来の教科書通りの動きにならないケースが近年増えてきている点は頭に入れておきましょう。

 

最後に一言

今週は中長期勢と短期勢が同じ向きに動いた通貨が5つ、反対を向いたのがAUDとDXYの2つ。

見方が割れたのは、今週になって利上げが新しく織り込まれ始めた2つでしたね。

ただそれ以上に、私たち日本人には見逃せない数字がありました。

円のLM:-102,188枚

7月末の介入が始まる直前が-101,990枚なので、1カ月かけて減らした円売りが元に戻っちゃいました…

過去最大の15兆3,993億円を使って作った円高が、ポジションの上では消えたということ。

しかしそのショートを積み直した直後に、COT後の3営業日でドル円は2%以上も下落。

この-102,188枚がどこまで巻き戻されているか、次回のCOTで答え合わせと行きましょう。

 

⚠️ 注意事項

  • COTレポートは火曜日時点のデータが米国東部時間の金曜午後(日本時間土曜早朝)に公開されます。公開時点で3日、実際にトレードに反映できるのは翌週月曜日になるため、実質的に約1週間の遅延がある点に注意が必要です
  • ポジションデータは方向のバイアスを示すものであり、エントリータイミングの判断には価格分析との併用が必要です
  • 極端なポジションは「逆張りシグナル」として機能することがありますが、トレンドが継続する限りは順張り方向が有利です
  • 円換算額は記事執筆時点の為替レート(EURJPY 181.46、GBPJPY 211.30、AUDJPY 112.54、CADJPY 112.89、CHFJPY 192.95)に基づく概算値です

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