急激な円安×原油高が日常生活へ与える大きな影響

FX侍です、こんばんは。

いや~ドル円が凄いですね(・∀・)

昨日126円台に突入し、2002年5月以来19年11カ月ぶりの水準ということでニュースになってますね。

一時126円台まで円安が進んだドル円月足チャート

 

ドル円はこの円安によって、約1ヶ月たらずで10円以上も上昇してます。

▼ドル円1時間足(クリックで拡大します)
約1ヶ月で10円以上も円安が加速したドル円

2円レンジでまごまごしてるドル円に馴染みがあると「お前は誰だ?」と言いたくなるボラになってますw

多少なりとも為替や経済の知識があれば、円安だったら輸出企業にメリットがあって日経平均が上がるから、まぁそれはそれでいいんじゃね?と思いますよね。

確かにそういう側面があるのは事実です。

しかし『原油価格と円安』という目線で考えると、日常生活への影響は無視できないレベルになります。

円安と原油価格の関係

ウクライナ情勢も引き金となって、原油の価格は最近になって上昇しています。

ガソリン高くなったよな~と実感してる人も多いはずです。

下記はWTI原油の価格推移です。

▼WTI日足(クリックで拡大します)
WTI原油価格の推移

相場が新型コロナに注目している時に、WTI原油先物が史上初のマイナス価格をつけて世間を賑わせたこともありましたねw

話を戻して…

様々な要因が絡み合って、原油価格が右肩上がりで高騰しています。

 


で。
重要なのは『原油はドル決済』という点。

 

原油の決済通貨に関しては過去に色々ありましたが、今現在でも米ドルで決済するのが決まりとなっています。

ここで重要となるのがドル円レートですね。

・ドルに対して円の価値が高い(円高)なら、支払う円は少なくて済みます
・ドルに対して円の価値が安い(円安)なら、支払う円は多くなります

 

分かりやすくイラストにしましょうか。

例えば100ドルの原油を買う際に、円高と円安では下記のように支払う金額が変わります。

円高と円安による違い

で…

思い出してくださいね。

今は急激な円安が進んでいるだけではなく、原油価格も高騰しています。

下記はWTI原油とドル円を1枚のチャートに重ねた画像です。
(青のラインがドル円、ヒストグラムがWTI原油を示しています)

▼WTI原油とドル円の比較チャート
WTI原油とドル円の比較チャート

原油価格だけではなくドル円レートを加味して考えることで、経済へのリアルな影響が分かりやすくなります。

ざっくり過去と今を比較してみるとこんな感じですね。

・今のドル円と同程度の円安だった2015年=原油は安い
・今の原油と同程度の価格だった2014年=ドル円101円台と円高

単純に一部分を切り取ると上記のようになりますが、今の状況は円安が更に進む可能性も大いにあります。

 

円安が進む(止まらない)要因

当ブログでも何度も書いていますが、為替レートを動かす根源は金利です。

今のアメリカは新型コロナ対策で掲げていた金融緩和から金融正常化へ舵を切り、利上げペースを加速させていきます。

2022年のFOMCは残り6回あるが、この見込みどおりに進む場合、今後の会合で毎回利上げが行われる想定となる。また、利上げは2023年以降も引き続き行われる見込みで、2023年のFF金利の中央値は2.8%と、長期均衡金利と見込む2.4%を上回る水準となっている。
引用:独立行政法人日本貿易振興機構 (JETRO)

 

今後アメリカは利上げを進めていく一方で、日本は金融緩和を継続しマイナス金利を維持する方針です。
(参考:黒田総裁「強力な金融緩和を」→20年ぶり円安相場 家計負担に懸念|Yahooニュース)

つまり日米の金利差は更に開いていくので、円安が更に進んでも不思議ではありません。

ちなみに金融緩和と通貨安の関係、ドル円の展望などは下記を参考にどうぞ。

 

ドル円だけを見ていると円安が進んでいる本当の実感は希薄かもしれません。

しかしドルベースで他の通貨と比較してみると現実がよく分かります。

下記はFinbizの通貨先物の日足チャートです。

▼ドルベースで比較した主要通貨のレート(クリックで拡大します)
ドルベースで比較した主要通貨

今の日本円の価値はカナダドルと同水準ですね。
(記事執筆時点のキャド円は100円前後です)

「ドル円」のように円換算すると円安でチャートが上昇するので感覚がズレますが、「円ドル」のようにドルベースで考えると円の価値が下げ止まらない状況となっている様子がよく分かります。

短期的に円安が緩むことはあるでしょうが、先程も言ったように日米の金利差が埋まる要因はありません。

円安×原油高で日常生活への大きな影響

今更言うまでもありませんが、我々の日常生活に原油は無くてはならないものとなっています。

下記は原油を精製した石油の主な用途です。

石油の使われ方
(出典:中部電力)

これだけ広範囲に原油が使われているんです。

で、先程も言ったように今の円安基調が円高に傾く要因はありません。

つまり原油購入コストが上昇するだけでなく、あらゆる輸入品に対するコストも上昇します。

 

例えば…
アメリカから輸入する小麦を例に考えてみましょうか。

そもそも今は世界的にインフレが起こっており、コモディティ価格も上昇しています。

コモディティ価格の週足チャート

モノの値段自体も高騰している上に円安で支払う円も増え、原油高による輸入品の輸送コストの上昇。
更に梱包用プラスチックの材料となるナフサ、工場を稼働させる電気を作る重油、配送トラックの軽油…、などあらゆる場所にも原油高の影響が加わります。

消費者に価格を転嫁しないための企業努力にも限界があります。

既に値上げしているもの、ステルス値上げをしているものは増えていますが、今の状況が変わらない限り値上がりするものは益々増えていくでしょう。

ちなみに電気代やガス代は、エネルギー価格の影響を3~6ヶ月後に受けます。
(※原油だけではなく天然ガスなどあらゆるエネルギー価格が高騰しています)

 

現状では生活コストがじわじわ上がっていく運命しかありません。

 

このようにインフレが進む中で、私達が実感している景気は良くなっていますか?

給料は増えてますか??

恐らく大多数の人は「No!」という回答じゃないでしょうか。

コロナの影響で逆に給料が減っている人もいるかもしれませんね。

2020年の日本の購買力平価をベースにした平均賃金は、下記のような残念な結果が出ています。

OECD加盟国の2020年の平均賃金
出典:ダイアモンドオンライン

日本の平均賃金(年収)はこの30年間ほとんど変わっていません。

そもそもインフレは、お金が増える(金利)より物価上昇率が低い状態が健全です。

色々と値上がりしたけど、給料も上がってるから特別生活に支障はないよね〜って事ですね。

これが良いインフレです。

しかし今の日本のように給料は大して上がらないのに、物価だけが上がっていく不景気時のインフレは生活コストだけが上がる「スタグフレーション(=悪いインフレ)」と呼ばれます。

これは避けようのない事実ですが、ただジッと堪える必要はありません。

当ブログを見ているということはFXトレーダーであるはずなので、トレードスキルを身に付けて収入の柱を増やしましょう。

将来への不安がきっかけでFXを始めた人も多いはず。

センスではなく努力をした人だけが勝てるようになる世界です。
日本の情勢に振り回されず、経済的に強い基盤を作りましょう。

 

勝てるトレード手法が無い、という方にはアプロスをお勧めします。
多くの人が判断に困るトレンドの見方が分かるようになるので、裁量スキルが飛躍的に上がるはずです。

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